何故、泣くのだ。


「お前の話が本当なら
俺達ゃ、お前にお礼を言わなければ
ならないんだが。」

とため息混じりにそう言いながら
土方は近藤 勇を見る。

「うむ。今回のことは後々事が
大きくなってしまうから。
望月くんには申し訳ないが、
事を慎重に運ばねばいけないんだ。」

なるほど。
どうやらこの人達は私を解放する気は
暫くないらしい。事を慎重に運ばねば
いけないというのが嘘か本当かは
わからないが。

彼等が私を怪しんでるのは
確かだった。

どうやら、完璧に信用された
訳ではなかったらしい。

「つまり、あなた方は暫く、
私を解放する気は無いということ
ですね?」

「あぁ、ないね。
お前が早くここを出たいのであれば
今日にでも例の呉服屋と宿屋に
言い分を聞きにいかなきゃなんねー。」

土方はあくまで、厳しい表情で
私にそう告げた。

「それに、君の荷物は宿屋に
あるのだろう?」

と、近藤。
確かに、たいした荷物はほとんどないが
金を手に入れてから買った
いくらかのあめ玉とユキのために買った
干した鰯がおいてけぼりに
されているはずだ。

「はい、食べ物ですので
とりにいかなければ。」

私はそう答える。