何故、泣くのだ。


「はぁ?そういう永倉さんだって
平助くんから龍香ちゃんのこと
聞きたがってたじゃないですかぁ。」


やはり、永倉 新八だった。

「こらこらみんな、怪我人がいるのだから
おとなしくしなさい。悪いな、望月君。
いつもこんなかんじなんだが、」

皆をきにかけるところからすると、
見たくれ年齢的にも、この人がかの有名な
近藤 勇ではないだろうか。

「いえ、お構い無く。」

「ほんとにすまないね。私の名は近藤 勇だ。
新撰組の…」

「局長様でいらっしゃいますね?」

私は、近藤の言葉を受け取った。
その瞬間、たった今まで騒がしかった辺りが
水をうったかのように静かになった。

「貴様、」

土方の手が自らの懐へ伸びる。
大方、短剣かなにかを忍ばせている
のだろうが。

「いかがなさいました?
かの有名な新撰組局長、近藤 勇。
何か、異存でもございますか?」

すると、土方はますます顔を歪ませ、
ギロリと鋭い目付きで私を睨み付けた。

まぁ、想定内。

「あぁ、あるね。貴様は旅人だと聞いた。
生憎、俺達ぁ旅人にまで知れ渡るほど
名高いとは、とても思えねぇな。」

と、更に威嚇の意を表す土方 歳三。

私はユキに暫く目をやり、
再び土方の目をみてこう言ってみせた。

「これはこれは、失礼致しました。
私は、知らぬ間にまた、予知していた
ようですね。お許しください。」