何故、泣くのだ。


私の勘が当たっていれば
ここは、幕末ということになる。

つまり、江戸時代。

人が人を簡単に切り殺す時代。

天国とはこんなに困難続きな
世界なのか??
それとも天国ではなく、地獄に
落ちたのか??

そもそもここは「あの世」ではないのか??

いろいろな思想が頭の中を瞬時に
駆け巡る。なんなんだ、一体。

私はどうすればいいのだ。

わからない。どうして、
こんな状況に立たされなければ
ならないのだ。

手に汗を握り、ゆっくりと、
ゆっくり、ゆっくりと振り返る。

男どもを見据える。



殺らねば、殺られる。



その考えだけが今や、私の脳を
占拠していた。

私がここで戦わなければ、
私もユキも共倒れするに決まってる。

私は刀の柄に手を掛ける。
それを見た男どもが一斉に抜刀する。


殺れ、殺るんだ。

ここで殺らなければ、殺されるぞ。

殺らねば死ぬぞ。殺られるぞ。


自分を脅す。追い込み、急き立てる。

死にたくない。生きたい。

知らぬ地に降り立った今、
死ぬ理由は無くなった。

生きて、知らなければ。
何故、自分がここにいるのか。
何故、生きようとしているのか。
何故、震えているのか。





何故、泣いているのか。