何故、泣くのだ。



誰だ。だって私こっちに来てから
誰ともなんの関係もないじゃんか。

なんの覚えもないぞ。

兎に角、大変なことになったのは
一目瞭然だよね。
ユキも、何か悟ったのか私の懐で、
じっといしていた。

私はとりあえず、早く宿場に戻ろうと、
近道をすることにした。
道はわからないけど、こっちに進めば
たどり着くだろうという適当な勘で
狭く、人気のない路地へと身を翻した。

けど、奴等は執拗に後を追ってくる。

私は最悪のケースを考えて、
刀の鞘を強く握りしめていた。

自然と脂汗が額に滲み出ていた。
焦る。めっちゃ焦っている。

どこからか、道がわからなくなって、
考えられなくなって、頭が回らなくて、
兎に角、逃げ切ろうと段々と路地が
細く、細くなっていっていたが、
私はそれに気付いていなかった。

しかし、ふと入りこんだ路地は先がなく
行く手を壁が遮っていた。

「……っちくしょ。」

私はてに汗を握り歯軋りをした。
ユキが私の背後に向かってフーッと
唸り声をあげ、警戒心を剥き出しにする。

ザッ、ザッ、ザッ、。

僅か、10メートルだか11メートルだかで
奴等は足を止めた。

「何故、私を追うのですか。」

出来るだけ、恐怖心を悟られないように
声を抑えつつ話しかける。

「貴様は敵だ。異色の羽織を召していた
との情報が入った。乃ち!貴様は新撰組
の一味だ。新撰組は我等、会津藩の敵
である。つまり、貴様は敵だ。」

新撰組………?