何故、泣くのだ。


仕方ない、なんとか対応してみようか。

「あ、なにか。」

「妙な羽織をお持ちでいらっしゃいますな。」

なるほど、男は私の羽織っていたパーカーを
言っているらしい。好奇の目を向けてくる。

「これですか、知人からの貰い物なんです。」

とりあえず、でっちあげてみた。

「そんじゃ、大層大事にしてらっしゃるん
ですねぇ??」

「いや、良く知った間柄ではなかったので。」

妙なことを聞く男だなと思いながらも、
最低限の会話で適当にあしらった。

「そうでらっしゃいましたか。そいじゃ、
うちで銭と取り替えるのはどうでしょう。」

どうやらここは服屋らしい。
改めて伺うと、色んな着物や小物が
おいてある。

この男は確かに今、銭と交換して欲しいと
言っていた。私は文無しだ。
ここで売れば、今夜は宿か何かに泊まれる
かもしれない。

「どれくらいで交換していただけるのかな?」

紳士的な侍を気取ってみたり。

「し、少々お待ちを。」

私が持ちかけると、男は嬉しそうに
パーカーを見つめながら算盤をいじりだした。

「八十文でいかがですかな?」

しばらくして、男がそう言った。

80………文。

いくらなんだ??

「八十文あればこの辺で宿はとれるかな?
つかぬことを尋ねるが、京に来るのは
始めてでね。」