何故、泣くのだ。


「あら、お行儀のいいお侍さんなのね。
京の町へ、おこしやす。」

そう言うとお姉さんは玉のようにコロコロと
笑いながら私の来た道を歩いていった。

そうか、いい情報を手に入れた。
ここはどうも、京都らしい。

しかし、あのお姉さんは“京”と言っていた。

やはり、ここは平成ではないのか。

お姉さんの教え通り、最初に出くわした
分かれ道で右に曲がって見ると、

そこは沢山の人で賑わう市場になっていた。

市場に出たところで何か目的が
あったわけでもなく、私は自分のおかれている
状況を知るために何か情報を掴もうと、
適当に歩いてみることにした。

ユキは自分で歩くと誰かに踏みつけられるか
捕まれて売り物にでもされそうなので
懐に入れといてやった。

時々、大して関心もない店を興味深げに
覗きながら、買い物をする人々の話に
聞き耳をたてた。

それで解ったこと。

まずここは平成ではない。
誰かが幕府の時代もなんたらとか言っていた
ところから、江戸時代か、鎌倉か、室町か…

次に、ここは城下町らしい。
目の前に佇む丘を仰げば、立派なお城を
拝むことが出来た。

町にたどり着いてから収拾した情報を
頭で整理しながら何となく適当な店を
覗いていると、その店の男に声をかけられた。

どうやら、知らないうちに妙な店に首を突っ込んじゃったらしい。

「すんません、そこの若旦那。」