信じられない。
この子猫は私の密かな策を悟り、
意図的にあの行動をとったというのか。
なんて利口な子猫だ。
そのユキは私と目が合うと満足そうに
ゴロゴロと鳴いた。
私は頭を撫でて誉めてやり、
とりあえずは男達の様子を伺った。
それと同時に自分も煙を
吸ってしまわないように、上着の袖を
口元に当てた。ユキは、自ら私の胸元に
飛び込み、上着の中に潜り込んだ。
突然、バタリと音がして男達に
視線を向けると、四人のうち一人が
倒れていた。心配して駆け寄るあとの三人も、
バタリ
バタリ
バタリ。
次々に倒れ、皆、気を失った。
茂みの中から様子をしっかり確認した私は
煙を吸わない様に注意しながら、
急いで一番小柄な男を選び、衣服と刀を
拝借した。
全て着替え終えた後、ケータイを懐に
忍ばせ、パーカーを着物の上から羽織り、
残った自分の服を火の中へと投げ入れた。
「行こう、ユキ。」
私はユキを連れて暗い夜道を
足早に進んだ。
街灯も何もない夜道はそれこそ、
一寸先は闇だった。
濃い霧の中にいるみたいに自分の
半径1メートル範囲しか把握できない。

