ある日、3匹そろって飛行場の人からご飯をもらい食べていると、滑走路の方から小型飛行機のエンジンの音が聞こえてきました。

すると末っ子のなおっちはピッと耳を立て、その音のする方へと走って行きます。

小型飛行機がちょうど離陸を始めようとしているところだったのです。

なおっちは滑走路横の草むらまで走って行き、草の上に座って目の前を離陸して行く小型飛行機をじっと見送っています。

同じように次の小型機も、その次の小型機も、なおっちの見ている前で大空に舞い上がって行きました。


 西の空に一番星・金星が輝き始めると、なおっちはまた親猫から離れ、滑走路横の草むらにたたずんで、小型飛行機が帰ってくるのを待ちます。

やがて小型飛行機が着陸ライトを輝かせ、一機また一機と下降しながら、滑走路に進入して来ました。

なおっちは小型機が着陸し、なおっちの目の前を走りすぎていく姿を、いつまでも見つめています。

そのなおっちの姿を見ていた飛行場の人たちは、この青い目の子猫のことをヴィーナスのなおっちと呼ぶようになりました。

 ある日、一組の家族がこの飛行場を訪れました。小型飛行機に乗って遊らん飛行をするためです。飛行場の草むらに出てきた子どもの一人が、小型飛行機を見て叫びました。

「飛行機だ。いっぱいある。かっこいい!」

 スポットには何機もの小型飛行機や中型飛行機が駐機していたのです。男の子は飛行機に夢中になりました。そのときです。女の子が子猫たちの姿を見つけました。

「あーっ、子猫、かわいい!」

女の子は3びきの子猫のそばに駆けよると、みけ猫のみっちーを抱き上げました。

「にゃーん」

みっちーはいやがらずに、おとなしく抱かれています。

「かわいい。ねえ、この猫の名前、何ていうの?」

女の子はパイロットの達也にたずねました。

「その子猫は、みっちーっていうんだよ」
 
「へえ、みっちー?かわいい名前ね」