広ーい草原の真ん中に、一本の滑走路が山の裾野まで、ずーっと延びています。

その滑走路の山側にある飛行機の格納庫に、いつからか1ぴきの親ねこと、3びきの子ねこが住みつくようになりました。

最初にそのねこの親子を見つけたのは、つい最近この飛行場にやって来たばかりのパイロットの田中達也でした。

達也が一人の整備士と広い格納庫の中を歩いていたとき、どこからともなく子ねこの鳴き声が聞こえてきたのです。

「あれ、ねこが鳴いている」

「ああ、聞こえますね。いったいどこにいるんだろう」

鳴き声は整備用の工具が入っている棚のほうから聞こえてきます。

達也と整備士はその声のする方に歩いて行きました。

整備用の工具を入れた棚の裏側をのぞくと、いました、いました。四角いダンボールの箱の中で、3匹のかわいい子ねこが母親ねこにミルクをねだっていたのです。

母親ねこはまっ白ですが、3びきの子ねこたちはそれぞれ違った色をしています。

いちばん大きい子ねこはトラねこ、2ばん目がみけねこと、それぞれからだの模様が違っています。

そして一番からだの小さい末っ子といえば、からだの色は白いのですが、目の色が青くきらきら輝くふしぎな子ねこでした。

その日から、達也は食事のあまりものをその母親ねこに与え始めました。そして、それぞれのねこに名前をつけたのです。

親ねこをシロ、トラねこをとら、みけねこをみっちー、末っ子の青い目をした子ねこをなおっちと呼ぶことにしました。