「俺が美姫を探してたら、誰かが教えて
くれたんだ。」

そう言う大路の顔はいつになく真剣で。
びしょびしょの私を、引っ張った。


そして。

ぎゅうっ、と温もりを感じる体。
あったかい…。

大路に抱きしめられたんだ。

突き放す余裕なんて、なくて。
むしろ、ずっとこうしていたくて。

「離して下さい。大路まで濡れてしまい
ます。」

私の口から出たのは弱々しい声。

「美姫、何かあった?」

大路の口から出たのは、優しい声。