5・・・4・・・3・・・

唇は近づいてくるばかり。



やっぱ、純潔は汚されるんだな。



ぎゅっと、目をつぶった。

・・・あれ?
唇が唇に当たらない。


いや、それは嬉しいことなんだけど・・・。




うっすらと右目を開けてみる。





なぜか、赤いツンツン頭は道に寝そべっていて、金髪ロンゲは足ががくがくしてる。





「レオ様のお妃に手を出すとは、いい度胸してますな」




と、彼は言った。



「っテメー、ざけんなよ」

金髪ロンゲが、彼に向かって拳をあげた。



「あらあら、この拳がいけないんですかねぇ」

彼は笑うと


ガンッッ。


金髪ロンゲの顔面に拳を振った。




ギャーギャー叫びながら、帰っていく男達。




わたしは、何があったのか分からず、その場に座った。





「大丈夫ですか?」

手をさしのべている彼の手に掴まり、ゆっくり立ち上がった。


「あ、ありがとうございます」

やっと出た声を出し、お礼を言った。




というか・・・めっちゃイケメン。

身長はけして高い方でないと思うけど、顔立ちのいい、好青年だ。





「申しおくれました。私の名は、エレン・アルベルトでございます。エレンとお呼びください」


「は、はぁ」



かしこまって言う彼に、つい私も頭を下げてしまう。



「ひ、姫様。頭をお下げにならないでください。レオ様に叱られてしまいます」


「姫様?しかも、レオって誰?」


「姫様?何を言っていられるのですか?今日は満月ですよ?」


「それが?」


「・・・」



エレン君は、なにやら紙を取りだし、何かを読み始めた。



「高瀬美鈴様、1996年10月29日生まれ、身長158センチ体重44キロ、スリーサイズは上から「ちょっとちょっとちょっと!!!」はい?」


真っ赤な顔の私に比べ、涼しげなエレン君。



「高瀬・・・美鈴様ですよね?」

確認するように、名前を聞かれた。


「当たり前でしょ?ていうか、なんで名前知ってるの?」

「貴女が、レオ様の婚約者だからですよ?」







・・・アナタガ、レオサマノコンヤクシャダカラテスヨ?






話が通じない。




「だから、レオってだr・・・」




「おいエレン、何してるんだ」


私の声を遮り、透き通るような綺麗な声。





「レ、レオ様っ!!」


レオ・・・様?






ゆっくりと後ろを向いた。