空輝がいたのだ。

驚いて固まっていると…空輝は不思議な顔をしてコテりと首をかしげている。

周りの目線が痛い…。

私に何の用なのか。

「何…?」

「………。」

「空輝…?」

「あ、うん…何?(ニッコリ」

は…?

何って…何?

私に用があって呼び止めたんじゃないの!?

「あの…用事は何?」

「ん…?」

本当に忘れているようだった…。

「んぁ!そーだった!ほいっ!」

ずぃっとさしだされてきたそれは…彼のスマホ。

ほいって言われても…。

私が反応に困っていると…。

「あっ…へへっ(ニカッ」

急に照れやがった…。

そんな顔で見られたら周りの女子はみんなおちてしまうだろう…。

私を例外として。

「…?」

私が首を傾げるとさらに、真っ赤になり。

「いや…あの…ほいっ!」

「え?」

さっきとなんにも変わりないじゃないっ!

と思いながらも。

「スマホが…どうかしたの?」

と聞いてみると。

「いや…あの…さぁ…////」

んん?この人こんなに口下手だったかな?

私と話したときはすごくストレートで人懐っこい感じ…だったのに。

「何…?」

「メ…アド…交換してくれない…かな?(ニコッ」

っ…!!!

何その女子みたいな言い方っ!

私が男子みたい…。

どうしよっかな…まぁ一応ペアだし…交換しておいた方がいいものなのかな?

と考えていると…彼は落ち着かなそうにしている。

完全に放置状態だ…やばい。

「ぁ…うん。
別にいいけれど?」

「えっ…!本当?(パァ〜」

なんでそんなに喜ぶのかなぁ〜

「うん。はい。」

「ありがとう!」

本当に周りの目線が痛い…なんでなの?

私なんかしたかなぁ〜

なんてのんきに考えていると、その一部始終を見た女子たちが…。

「きゃぁぁぁぁあぁあ!!
空輝くぅ〜ん!私ともメアド交換して…欲しい…なぁ〜?」

と猫撫で声で次々に女子が押し寄せてくる…。

そんな中に入れるはずもなく、すぐに出てきた。

もう既に空輝は囲まれていて…見えない。

ズキッ…。

………?

何だろう…胸が痛い…ズキズキして苦しい…。

この頃私…おかしいな。

教室に戻ろう…。

そして私はその場を後にするのだった。

私の後ろ姿を一人の男の子が切なそうに見つめているのなんて…知るはずもなく………ーーーー。