これは…私が中学で経験した…まだ幼い…淡い淡い恋物語。

「それじゃぁ、行ってくるねっ!」

私は玄関で靴をトントンと叩いて、家を出た。

空は雲ひとつない、澄んだ快晴だった…。

「ちょっと!華恋!カバンを忘れて何しに行くのよ〜」

と慌ててお母さんが、鞄を持って走ってきてくれた。

自分でも強ばり過ぎなのかもしれない…だって今日は私が苦手な体育がある日だ。

それに今日は…持久走。

いま足を痛めている私には、少し痛い内容だった。

「あはは、ごめんごめん!ありがとぉ〜」

「ごめんごめんじゃないでしょ?全く…あなたはいつもいつも…」

また小言が始まるのか…と思い腕時計に目をやると…。

7時を少し過ぎた所だった。

「ごめんっ!!すっごいありがとう!でも学校に遅刻しちゃうよ!」

「はぁ…日本語ぐちゃぐちゃじゃないの…それでよく国語のテスト受けられるわね…それに華恋は朝早くに出過ぎなんじゃないの?
8時半までに学校に着いていればいいのよ?」

と呆れながら私に語りかけてくるお母さん…そんなに呆れた顔しなくても…。

なんて内心落ち込みつつ。

「だって、朝勉強した方が、はかどるんだもぉ〜ん♪」

なんて、カワイ子ぶって言ってみたら…。

お母さんは盛大な溜め息をついてしまった。

そろそろやばいと思い。

慌ててお母さんに。

「ごめんっ!!そろそろ行くね!!行ってきますっ!」

「はぁ…またそんなに慌てて、転ばないでよ?
行ってらっしゃい。」

とまた呆れられつつも…笑顔で送り出してくれるお母さん。

私はそんなお母さんが大好きだ。

怒ると怖いなんてものじゃないけれど、女手一つで私を育ててくれている、優しいお母さん。

「流石に急がないと…」

時計を見ると、あれからもう15分もたっている。

今日はなんだか謝ってばかりだなぁ…なんて考えながら私は小走りで学校に向かうのであった。