潤んだ瞳で告げられる言葉。先ほどから与えられる続けている刺激は、確実に亜紀の体を変化させている。今の彼女はちょっとした刺激でも体がビクンと跳ねることを抑えることができない。そんな彼女の耳元で囁かれる『亜紀が欲しい』という甘い声。

それに応えるかのように亜紀の腕が惟の体をしっかりと抱きしめている。そして、消え入りそうな声で、『私も欲しい』と声が紡がれる。

この言葉が惟の理性を吹っ飛ばしたのは間違いない。タガが外れたように、互いの体が重ねられる。『愛している』という言葉と、それに絡みつくような甘い嬌声。それらがいつまでも部屋の中に響いていくだけだった。



◇◆◇◆◇



次の日の朝――


差し込んできた朝日で目を覚ました亜紀は、その場の光景に息を飲んでいた。なにしろ、目の前には整った顔の惟が穏やかな表情で眠っている。それだけではない。彼の腕が自分をしっかりと抱きしめ、離そうとしない。

何があったのだろうかと頭をひねる彼女を襲う体の違和感。それだけではない。朝日の中で晒される素肌のいたるところについている赤い痕。これらは何があったのかということを彼女にハッキリと告げている。



「わ、わたし……」



昨夜のことは後悔していない。それどころか、本当に幸せな気持ちになれたと思っている。そんな思いを教えてくれた相手が隣で眠っている。そのことに、亜紀は思わず顔がほころんでいた。