惟が囁きかける声は限りなく甘い。それを耳にした亜紀が抵抗できるはずもない。なにしろ、今の彼女は間違いなく彼のことを好きなのだと意識している。そして、今のこのシュチエーションにドキドキしないはずもない。
そんな中、じっとみつめてくる惟の視線を感じる。返事をしなければいけないのは分かっているが、みつめられていることに対する羞恥心も間違いなくある。今の彼女はどうすればいいのか分からない状態で、耳まで真っ赤になってしまっている。
そんな彼女に、彼は優しく『返事は?』と問いかけてくる。この声に抵抗できるはずがない。そう思った亜紀は真っ赤になったまま、小刻みに体を震わせると『はい』と応えるだけ。
「よかった……今回も亜紀に振られたらどうしようと思ってた。承知してくれてありがとう」
亜紀の返事の声は微かなものだったはず。それでも、間違いなく惟の耳はそれを拾っている。そのまま彼女にかけられる優しい声。今の彼女の耳に響くのは甘いテノール。その声に酔ったように顔を上げる亜紀。その潤んだ目が惟をみつめている。
「ほんとに? ほんとに、私でいいの?」
亜紀の口からもれるのは、不安気な声でしかない。そんな彼女の思いを吹き飛ばすように隣に座り直した惟は、彼女の小さい手に指輪をはめている。
「亜紀じゃないとダメ。君以外はいらない。だから、これはちゃんとはめていて」
「これって、ピンクダイヤでしょう? こんな高価なものもらえない」
「あのね。これって婚約指輪だよ? だったら、これくらい当然。でも、僕にすれば、これでも足りないと思ってる。これくらいのもので、君を僕のものだって言えるのなら安いものだよ」
そんな中、じっとみつめてくる惟の視線を感じる。返事をしなければいけないのは分かっているが、みつめられていることに対する羞恥心も間違いなくある。今の彼女はどうすればいいのか分からない状態で、耳まで真っ赤になってしまっている。
そんな彼女に、彼は優しく『返事は?』と問いかけてくる。この声に抵抗できるはずがない。そう思った亜紀は真っ赤になったまま、小刻みに体を震わせると『はい』と応えるだけ。
「よかった……今回も亜紀に振られたらどうしようと思ってた。承知してくれてありがとう」
亜紀の返事の声は微かなものだったはず。それでも、間違いなく惟の耳はそれを拾っている。そのまま彼女にかけられる優しい声。今の彼女の耳に響くのは甘いテノール。その声に酔ったように顔を上げる亜紀。その潤んだ目が惟をみつめている。
「ほんとに? ほんとに、私でいいの?」
亜紀の口からもれるのは、不安気な声でしかない。そんな彼女の思いを吹き飛ばすように隣に座り直した惟は、彼女の小さい手に指輪をはめている。
「亜紀じゃないとダメ。君以外はいらない。だから、これはちゃんとはめていて」
「これって、ピンクダイヤでしょう? こんな高価なものもらえない」
「あのね。これって婚約指輪だよ? だったら、これくらい当然。でも、僕にすれば、これでも足りないと思ってる。これくらいのもので、君を僕のものだって言えるのなら安いものだよ」


