「惟さん、誤解しないでくださいよ。そりゃ、亜紀は幼なじみだし大好きな相手ですよ。でも、惟さんの邪魔しようなんて思ってませんから!」
「そう? だったらいいんだけど」
そう言いながら由紀子に向ける視線からは、フェロモンしか感じられない。すっかりそれにあてられた状態の彼女は顔を赤くすることしかできなかった。
この二人、お互いに無意識だと思うけど、歩く核兵器と同じだ。
そんなことを由紀子は思うが、そのことを口にすることなどできるはずもない。それでも、このことは言っておこうと思うのか、惟の耳元に口を寄せている。
「知っていると思いますけど、亜紀って今度の金曜日が誕生日ですよ」
「うん、知ってるよ。でも、教えてくれてありがとう。由紀子ちゃんも本当に可愛らしいよね」
「亜紀の前でそんなこと言っていいんですか? この鈍感、誤解しますよ?」
その声に惟はフッと笑みを浮かべるだけ。その顔を見た由紀子は、『この確信犯』と心の中で呟くことしかできない。間違いなく、彼は亜紀の嫉妬心を煽っているのだ。そのことが分かったのだろう。由紀子はわざと大きくため息をつきながらその場を離れようとしている。
「これ以上、ここにいるのって目の毒ですよね。だから、今日は帰りますね。でも、今度の日曜日はちゃんと亜紀を貸してくださいよ」
「わかったよ。送っていけないけど、構わない?」
「もちろんです。この前も言いましたけど、公共交通機関っていうものがあるんです。普通の女子高生の私は、それを使うのが当然なんです」
「そう? だったらいいんだけど」
そう言いながら由紀子に向ける視線からは、フェロモンしか感じられない。すっかりそれにあてられた状態の彼女は顔を赤くすることしかできなかった。
この二人、お互いに無意識だと思うけど、歩く核兵器と同じだ。
そんなことを由紀子は思うが、そのことを口にすることなどできるはずもない。それでも、このことは言っておこうと思うのか、惟の耳元に口を寄せている。
「知っていると思いますけど、亜紀って今度の金曜日が誕生日ですよ」
「うん、知ってるよ。でも、教えてくれてありがとう。由紀子ちゃんも本当に可愛らしいよね」
「亜紀の前でそんなこと言っていいんですか? この鈍感、誤解しますよ?」
その声に惟はフッと笑みを浮かべるだけ。その顔を見た由紀子は、『この確信犯』と心の中で呟くことしかできない。間違いなく、彼は亜紀の嫉妬心を煽っているのだ。そのことが分かったのだろう。由紀子はわざと大きくため息をつきながらその場を離れようとしている。
「これ以上、ここにいるのって目の毒ですよね。だから、今日は帰りますね。でも、今度の日曜日はちゃんと亜紀を貸してくださいよ」
「わかったよ。送っていけないけど、構わない?」
「もちろんです。この前も言いましたけど、公共交通機関っていうものがあるんです。普通の女子高生の私は、それを使うのが当然なんです」


