たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

由紀子が何を言いたいのかは分からない。だが、この状況はすこぶる不利としか言いようがない。そんなことを感じている亜紀がビクビクした調子で問いかける。それに対して、由紀子はニンマリと笑いながら応えてくる。



「だって~。外で待ってるのよ。あんたからの連絡待ってるんでしょうね。しょっちゅう、携帯眺めてるもの。なんだか、邪魔するのも悪いような気がしてきた。さっさとお邪魔虫は帰ろうか?」


「どうして、そんなこと言うのよ。由紀子がお邪魔虫ってどういうこと?」


「認めたくないけど、そうじゃない。ホント、私の知らない間にくっついて、すっかりラブラブ状態なんだから。今日のところは大目に見てあげるけど、今度からはちゃんと報告するのよ」



由紀子のそんな声に、亜紀は返事をしようとはしない。それは彼女なりの抗議の姿勢というものだろう。もっとも、それが由紀子に効果があるはずもない。彼女は笑いながら亜紀から携帯を取り上げると、遠慮なく電話帳を開いている。



「あ、これね。あんまり待たせるのも悪いし、私から連絡してあげる」


「由紀子、それこそ余計なお世話よ。私、あなたと話したいって思ってるのに」


「いいじゃない。またゆっくり話せる時もあるでしょう? ほら、今度の日曜日には会えるんだし。あ、その時はあんたの恋バナ聞かせてもらうから」



そう言うと、由紀子は惟の番号をみつけると電話を繋いでいる。友人のその行動を今の亜紀に止めることができるはずもない。そして、彼女が楽しそうな声で『話、終わりましたよ』と告げるのを聞いて頭を抱えるだけ。



「由紀子、勝手に何してくれるのよ」