たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

友人のこの迫力はなによりも恐ろしい。そう思う亜紀は「わ、わかった」と呟くことしかできない。その返事に納得した由紀子は『早く話しなさい』というような視線を彼女に向ける。この態度に亜紀は逃げることはできないのだと悟ったのだろう。諦めたような口調で話し始めていた。



「あ、あのね……この前、由紀子と会った次の日から付き合ってる……」



このことを口にするのは照れる。そう思う亜紀の声がだんだんと小さくなるのは仕方がないだろう。それに比例するかのように赤くなっていく顔。今の彼女はポッポと湯気を吹きそうなほど顔を赤くしている。友人のそんな姿に由紀子は自分の頬を挟むと『キャー』と楽しそうな声を出す。

それがますます亜紀の羞恥心を煽るのだろう。今の彼女は、なんとかしてこの場から逃れたいという思いしかない。しかし、由紀子がそれを許すはずがない。すっかり目をキラキラさせた彼女は、己の好奇心を満足させる言葉だけを口にしている。



「ええ! じゃあ、あの次の日からなの? 惟さん、たしかに積極的だと思ったけど、展開が早いんじゃないの? 何かあったんでしょう。ひょっとして、美味しくいただかれちゃったの?」


「な、何を言い出すのよ! そんなことあって付き合うってことになると思うの? 私、そこまで変態じゃないわよ」



由紀子の言葉に亜紀は猛然と反発をしている。まるで、それがきっかけとなったかのように、亜紀はその日にあったことを話し始めている。



「由紀子と会った次の日、惟さんとデートしたの」


「そうなんだ。あの人のことだし、絶対に完璧なデートコース、選んでくれたんでしょうね。うん、見てなくても分かるわ」