「そ、そんなこと……」
惟の口から出てくる言葉に、亜紀は羞恥心しか刺激されない。こうなったら、少しでも早くラ・メールに逃げ込もう。そう決意した彼女の足取りは段々と早くなっていく。
そのためだろう。目的の店に着いた時には、彼女はゼーハーと息を切らした状態になっていた。そんな彼女に携帯が差し出される。
「惟さん? カバンは? 携帯だけじゃ困ります」
「だって、カバンを渡したら亜紀は絶対に連絡してこないでしょう? だから、これは人質。由紀子ちゃんと話が終わったら、ちゃんと連絡してきてよ。ほら、もう待ってくれてるみたいだよ」
惟の声に亜紀は慌てて店内に視線をやっている。そこのボックス席の一つで手をヒラヒラと振りながら待っている由紀子。それを目にした亜紀は仕方なく「わかりました」と告げることしかできない。そんな彼女の姿を惟は満足そうな表情でみつめていた。
「そうやって拗ねてる亜紀も可愛らしいよね。じゃあ、由紀子ちゃんとゆっくり話をしておいで。遅くなってもいいように、拓実君には僕が一緒だって連絡しておくから」
彼のその言葉に思わず亜紀は反論しようとする。そんな彼女の額にまたキスを落とした彼は、亜紀の体を反転させると背中を押している。そんな二人の様子を店内から由紀子はハッキリと見ていたのだろう。亜紀が近寄ったと思うと、目をキラキラさせて彼女に詰め寄ってくる。
「ねえ、亜紀。ずいぶんといい雰囲気じゃない。私が知らない間に何があったの? さっきの様子だと、間違いなくくっついたんだとは思うけどね。でも、昨日の電話じゃそんなこと言わなかったじゃない!」
惟の口から出てくる言葉に、亜紀は羞恥心しか刺激されない。こうなったら、少しでも早くラ・メールに逃げ込もう。そう決意した彼女の足取りは段々と早くなっていく。
そのためだろう。目的の店に着いた時には、彼女はゼーハーと息を切らした状態になっていた。そんな彼女に携帯が差し出される。
「惟さん? カバンは? 携帯だけじゃ困ります」
「だって、カバンを渡したら亜紀は絶対に連絡してこないでしょう? だから、これは人質。由紀子ちゃんと話が終わったら、ちゃんと連絡してきてよ。ほら、もう待ってくれてるみたいだよ」
惟の声に亜紀は慌てて店内に視線をやっている。そこのボックス席の一つで手をヒラヒラと振りながら待っている由紀子。それを目にした亜紀は仕方なく「わかりました」と告げることしかできない。そんな彼女の姿を惟は満足そうな表情でみつめていた。
「そうやって拗ねてる亜紀も可愛らしいよね。じゃあ、由紀子ちゃんとゆっくり話をしておいで。遅くなってもいいように、拓実君には僕が一緒だって連絡しておくから」
彼のその言葉に思わず亜紀は反論しようとする。そんな彼女の額にまたキスを落とした彼は、亜紀の体を反転させると背中を押している。そんな二人の様子を店内から由紀子はハッキリと見ていたのだろう。亜紀が近寄ったと思うと、目をキラキラさせて彼女に詰め寄ってくる。
「ねえ、亜紀。ずいぶんといい雰囲気じゃない。私が知らない間に何があったの? さっきの様子だと、間違いなくくっついたんだとは思うけどね。でも、昨日の電話じゃそんなこと言わなかったじゃない!」


