そう告げるとアンジーは由紀子を促しその場を去っている。それを見送った惟は「じゃあ、僕たちも行こうか」と穏やかな視線で亜紀に声をかける。そのままさり気なく肩に回される手。そのことに思わず顔が赤くなっていくのを亜紀は止めることができない。そんな彼女の反応に惟はフッと笑みを浮かべながら耳元で囁きかける。
「そんなに緊張しなくていいの。それとも、僕が送るのじゃ嫌なのかな?」
「そ、そんなことないです。逆に迷惑かけてるんじゃないかなって思ってるくらいです」
「そんなこと思わない。遠慮なんてする必要ないんだよ。亜紀ちゃんはまだ認めてくれてないようだけど、僕たち婚約しているんでしょう? だったら、送っていくのは僕の当然の権利だし、義務だよ」
そう言いながら彼は亜紀を駐車場へと案内している。そこに停められていた車は青いフェラーリ。スポーツタイプのフォルムを持つ車を目にした亜紀は、思わずため息をついてしまっていた。
「惟さん、これってフェラーリですよね? こういうのを持ってるあたり、やっぱり凄い……」
「一條家のお姫様でもある亜紀ちゃんがそんなこと言うの? そりゃ、あちこちに手は入れてるけど、これくらいは当然だと思うよ。さ、お姫様、どうぞ」
サラリと常識からぶっ飛んだような発言をしてくれた惟は、当然のように助手席の扉を開ける。たしかにこの車は二人乗り。となれば、選択肢がその席しかないのは当然。
だが、本当にいいのだろうか、という思いが亜紀の中にある。そのためだろう。彼女はどこか躊躇うような表情で、惟の顔をみつめていた。
「あの……ほんとにいいんですか?」
「そんなに緊張しなくていいの。それとも、僕が送るのじゃ嫌なのかな?」
「そ、そんなことないです。逆に迷惑かけてるんじゃないかなって思ってるくらいです」
「そんなこと思わない。遠慮なんてする必要ないんだよ。亜紀ちゃんはまだ認めてくれてないようだけど、僕たち婚約しているんでしょう? だったら、送っていくのは僕の当然の権利だし、義務だよ」
そう言いながら彼は亜紀を駐車場へと案内している。そこに停められていた車は青いフェラーリ。スポーツタイプのフォルムを持つ車を目にした亜紀は、思わずため息をついてしまっていた。
「惟さん、これってフェラーリですよね? こういうのを持ってるあたり、やっぱり凄い……」
「一條家のお姫様でもある亜紀ちゃんがそんなこと言うの? そりゃ、あちこちに手は入れてるけど、これくらいは当然だと思うよ。さ、お姫様、どうぞ」
サラリと常識からぶっ飛んだような発言をしてくれた惟は、当然のように助手席の扉を開ける。たしかにこの車は二人乗り。となれば、選択肢がその席しかないのは当然。
だが、本当にいいのだろうか、という思いが亜紀の中にある。そのためだろう。彼女はどこか躊躇うような表情で、惟の顔をみつめていた。
「あの……ほんとにいいんですか?」


