たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

由紀子のその声に、亜紀は「どうしてよ!」と叫ぶことしかできない。そんな彼女に、由紀子は呆れたような調子で話し続ける。



「私にすれば、分からないっていう亜紀の心理の方が分からない。ま、これは亜紀に恋愛経験がないからだと思いたいんだけどね」


「そういう由紀子だってそうじゃない。あなただって、今まで彼氏いなかったでしょう?」


「そんなことないって言いたいけど、無理よね。でも、見ていれば分かるっていうこともあるの。あの人、絶対に亜紀のことが好きなの。で、そんな相手から完全に拒否られたもんだから、契約だなんて言い出したんだわ」



由紀子の言葉の意味が亜紀にはどうしても理解できない。結局、彼女は膨れた顔で友人の顔を見つめるだけ。それを見た由紀子は大きくため息をついている。



「ほら、婚約は無理でも契約だとあんたが割り切れば、そばにいられると思ったんでしょう。でも、口ではそう言ってはいても、あんたにベタ惚れなもんだから、ああやってかまってくるのよ。愛されちゃってるのね~」


「そ、そんなこと、ないと思うわよ?」



そう言う亜紀の顔がどことなく赤くなっている。そのことに気がついた由紀子はクスクスと笑いだすだけ。その姿にからかわれていると思ったのだろう。亜紀はキッと由紀子を睨みつける。

だが、彼女が無意識にしているその姿はヤバい。男がこれを見たら、どんな反応を示すか分かったものではない。そう思った由紀子は、ため息をつくことしかできなかった。



「亜紀が睨んだって、怖くないわよ。ついでに、その顔を男に見せたら、絶対に誤解されるから」