たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

「亜紀、これってどういうことなの? 久しぶりに会ったあんたにイケメンがくっついているっていうのも想定外だったんだけどね。ひょっとして付き合ってる? ずい分、年上のように見えたけど? うん、あれって大人の男よね。白綾の校門で人待ち顔でいる姿を見た時、悶えたもの」


「ゆ、由紀子。待って……一つずつ、説明するから。うん、話したいことってそれが関係してるんだから」


「ひょっとして、惚気でも聞かせようっていうの? 今まで男っ気0だったあんたにあんないい男がついたら、自慢もしたくなるだろうけど……」


「違うってば! どこをどう見れば、そんな話になるのよ!」



このままでは激しい誤解のエンドレスを招いてしまう。そう思う亜紀は、必死になって誤解を訂正しようとする。しかし、その顔が真っ赤になっているあたり、説得力がかけらもあるはずがない。今にも噴火しそうになっている彼女の頬をチョンと突いた由紀子は、呆れたような口調で声をかけている。



「あんた、真っ赤よ。鏡、見てごらん。さっきの人のこと、思いっきり意識してるんでしょう。ほんと、分かりやすいったら。やっぱり、恋愛経験値0っていうのは大きいわよね」


「だから、意識も何もしてないって! 惟さんとは昨日、初めて会ったんだから。それなのに、お父さんったら彼のこと婚約者だなんて言い出すんだもの。どうしろっていうのよ」


「え? 婚約者!? それって、本当?」



亜紀が口にした『婚約者』という言葉に、由紀子が一気に食いついてくる。彼女がこうなったら止めることはできない。今までの付き合いでそのことを知っている彼女は諦めたような声を出す。