たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

そう言うなり、惟はサッサと亜紀から携帯を取り上げている。そのことに思わず抗議の声を上げようとする亜紀だが、それが聞き入れられることはない。そのまま慣れた手つきで携帯を弄っていた惟が、スッと彼女の目の前に差し出してくる。



「はい、亜紀ちゃん。僕の番号、登録しておいたから。話が終わったら連絡して」


「どうして、そうなりますか?」


「だって、僕も亜紀ちゃんとゆっくり話したいし、連絡をいつでも取れるようにしておきたい。この番号、僕のプライベートのものだから、いつでも連絡が取れるしね」



さり気なく告げられたその言葉に、亜紀はどう返事をしていいのか分からない。結局、彼女は俯いてしまうことしかできないようだった。そんな彼女の頭を惟はポンと叩いている。



「そんなに深刻に考えないの。番号やメルアドを交換するのって、普通にすることでしょう? どうして、僕の番号だっていうだけで、そんな顔をするの?」


「だ、だって……」


「う~ん、亜紀ちゃんの言いたいことって分からないでもないけど、それは拒否。あ、マスター、二人はゆっくり話をしたいんだよ。だから、誰にも邪魔されないようにしてあげてくれるかな?」



その声にマスターは大きく頷くと、亜紀たちを手招きしている。その姿に首を傾げる二人だが、惟が「行っておいで」というのに安心したような顔になっている。そのまま、二人はマスターに案内されるまま、ラ・メールの店の奥へと案内されているのだった。



◇◆◇◆◇



「ねえ、亜紀。ここはちゃんと説明してくれない?」