「だったら、心配することない。今からちゃんと誓うけど、返事は『はい』しか認めないよ。分かってる?」



惟のその声に亜紀は一気に顔を赤くすると俯くことしかできない。彼のことを好きだと意識したのはついこの間のはず。それでも、彼がいないとダメなのは間違いない。そして、今日が終われば彼と一生を共にする。そのことが嬉しくて仕方がないのだろう。紅潮させた頬と上目遣いの視線が亜紀の心境を雄弁に物語る。



「惟、この前も言ったわ。惟のお嫁さんにしてください。私はまだ子供だけど、あなたのことが誰よりも好きです。愛しています。だから、お嫁さんにしてください」


「分かってるよ。僕も亜紀のことを愛している。一緒に生きていこう。そして、いつまでも仲良くしよう。今日はその最初の一歩だから。君のこと、絶対に幸せにするからね」



惟のその言葉に亜紀は頷くことしかできない。いつの間にか、こんなにも彼のことを好きになっていたのだ。そのことを思う亜紀の顔は幸せそうな表情を浮かべている。

彼と一緒ならば絶対に幸せになれる。何も心配することはないのだ。そんな全幅の信頼を込めた視線が惟に向けられる。

そんな彼女の腕を取り、ゆっくりと歩き出す惟。そんな二人を祝福しようと集まっているのは互いの家の両親と、亜紀を育ててくれていた里見夫妻。それだけではなく、その場には由紀子とアンジーの姿もある。

二人がここに辿りつくまでの事情を知っている人々の惜しみない祝福。それを全身に感じているのだろう。二人は互いの顔を見合わせると、心からの笑みを浮かべ、誓いのキスを交わしているのだった。



~Fin~