たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

「アンジー、これ以上、馬鹿なこと言わないで! こんなに素敵なドレス作ってもらったんだもの。ショーに出演するのは問題ないわ。でも、惟と一緒はいや!」


「亜紀ちゃん、どうして? なにも惟が嫌いっていうわけじゃないんだろう?」



アンジーのその声に亜紀はウっとうめき声を上げている。たしかに彼の言葉にも一理ある。しかし、彼女自身はどうしてもそれを受け入れることができない。だからこそ、どこか必死になって彼女は言葉を紡いでいく。



「惟のこと、嫌いじゃないわよ。でも、何回も言うけど、彼と一緒にショーに出るのが嫌なだけ」


「だから、その理由が分からないんだよね。嫌いじゃないんなら、一緒に出てよ」


「いや! あんまり言うんなら、ショーに出るの止める。このドレス、別の人が着ればいいじゃない!」



そう言うなり、亜紀はドレスを脱ぎ棄てようとする。そんな彼女の姿にちょっと焦ったような顔でアンジーが声をかけてきていた。



「亜紀ちゃん、それはやめてよ。今さら、別のモデルさんを手配できるはずないんだから」


「そんなことないじゃない。だって、ここには何人もモデルさんがいるわよ。その中の誰かが着ればいいじゃない」


「そんなに簡単にできないんだよ。だって、このドレスって亜紀ちゃんのサイズに合わせてるんだよ? だとしたら、モデルさんたちには小さいじゃないか」



その言葉に亜紀は脱ごうとしていた手を止めている。このドレスは彼女の為に作られたマリエ。だとしたら、これを着る権利は彼女だけのものであるともいえる。