「今、なんて言ったの? もう一度、言ってくれない?」
柔らかなテノールの声。耳に馴染んだはずの甘い響きがいつもよりも甘く聞こえる。そう思った亜紀は何も言うことができずに顔を真っ赤にすることしかできない。そんな彼女に、甘い響きが降り注がれる。
「ねえ、亜紀。さっき、嬉しいこと言ってくれたと思うんだけど? もう一度、ちゃんと聞かせて。言い逃げってずるいんじゃないの?」
「た、惟……」
いくらそう言われても、恥ずかしいものは恥ずかしい。そう思う亜紀の顔はますます赤くなっていく。それでも、逃げているだけではいけないということも分かっているのだろう。真っ赤に染まった頬を隠すように俯いた彼女は「好きです」と消え入りそうな声で呟いている。
「亜紀、聞こえないよ。ちゃんと僕の目を見て言って」
亜紀が羞恥心で身悶えていることに気がついている。それでも、惟は容赦なく言葉をぶつけていく。そんな彼の声に目をギュッとつぶり、体を固くしている亜紀。今の彼女に、彼が要求していることをクリアするのは不可能ともいえる。
先ほどは惟が眠っていると思って口にできた言葉。それを本人の目を見ながらもう一度言うことができるはずもない。そう言いたげに視線を落としている亜紀。そんな彼女の顎を惟はグイッと持ち上げていた。
「ね、亜紀。ちゃんと聞かせて」
「惟……」
柔らかなテノールの声。耳に馴染んだはずの甘い響きがいつもよりも甘く聞こえる。そう思った亜紀は何も言うことができずに顔を真っ赤にすることしかできない。そんな彼女に、甘い響きが降り注がれる。
「ねえ、亜紀。さっき、嬉しいこと言ってくれたと思うんだけど? もう一度、ちゃんと聞かせて。言い逃げってずるいんじゃないの?」
「た、惟……」
いくらそう言われても、恥ずかしいものは恥ずかしい。そう思う亜紀の顔はますます赤くなっていく。それでも、逃げているだけではいけないということも分かっているのだろう。真っ赤に染まった頬を隠すように俯いた彼女は「好きです」と消え入りそうな声で呟いている。
「亜紀、聞こえないよ。ちゃんと僕の目を見て言って」
亜紀が羞恥心で身悶えていることに気がついている。それでも、惟は容赦なく言葉をぶつけていく。そんな彼の声に目をギュッとつぶり、体を固くしている亜紀。今の彼女に、彼が要求していることをクリアするのは不可能ともいえる。
先ほどは惟が眠っていると思って口にできた言葉。それを本人の目を見ながらもう一度言うことができるはずもない。そう言いたげに視線を落としている亜紀。そんな彼女の顎を惟はグイッと持ち上げていた。
「ね、亜紀。ちゃんと聞かせて」
「惟……」


