たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

亜紀の言葉に安心したように玲子はそう応えている。もっとも、そう言われた亜紀の方は訳が分からないというような顔をすることしかできない。そんな彼女の体をぐるりと回転させた玲子は、その背中をグイッと押していた。



「さ、悩んでいないで惟に会ってらっしゃい。そうすれば、亜紀ちゃんの不安なんてどこかにいっちゃうわ。あなたは間違いなく惟に恋している。でも、たとえ、これが恋だとしてもそのことをちゃんと認めないと先に進めないわ。そのこと、分かっているんでしょう?」



励ますような玲子の言葉。それに対して、亜紀は首を後ろに向けると不安そうな表情をみせる。



「でも、ほんとに大丈夫ですか? それに、私、こんな格好だし……」


「そんなこと、気にしなくてもいいの。惟は亜紀ちゃんの顔しか見てないから」


「玲子、それは言いすぎじゃないかな? ま、たしかに否定はできないと思うけれども」


「そうよ。それに、あの子も健全な男なんだし。亜紀ちゃんが裸でいた方が喜ぶんじゃないの?」



平然とした顔で玲子はそう言い放つ。それを耳にしたとたん、亜紀は耳まで真っ赤になり達也も明後日の方角に視線を向けていく。

もっとも、爆弾発言をした本人にその意識があるはずもない。彼女は思いっきり亜紀の背中を押すと、惟のいる病室に彼女を押し込んでいた。



「悩むことないの。ちゃんと亜紀ちゃんの気持ちを惟に教えてあげて。絶対にそうした方がいいの。わかった?」



それだけ言うと玲子は病室の扉をバタンと閉めている。後に残されたのはこの状況にアタフタしている亜紀。だが、彼女もどうすればいいのかおぼろげに分かっている。