サラリと告げられたその言葉に、亜紀はまた顔が赤くなってくるのを感じている。どうして、こんなことを言われないといけないのか。そう思っている彼女だが、先ほどまでの重苦しい雰囲気と比べれば、今の方が格段に居心地はいい。
もっとも、羞恥心だけを刺激されるような言葉に耐えなければいけないのは遠慮したい。そう告げるかのように、亜紀は頭から布団をかぶっている。
「グラントさん、本番って何のこと言ってるんですか?」
「え、分かってないの? 亜紀ちゃんと惟の結婚式。絶対に凄い人数が集まるんだろうね。なにしろ、亜紀ちゃんは一條家のお姫様だし、惟もそれなりに顔が広いからね。だとしたら、慣れておくためにも今度のコレクションでモデルやってよ」
アンジーが彼女を呼ぶ時の声が『亜紀ちゃん』に戻っている。そのことを不思議に思う亜紀は、じっとアンジーの顔を見つめるだけ。その視線に気がついたのだろう。アンジーはクシャリと顔を歪ませながら応えている。
「亜紀ちゃんの気持ちを知ってまで、前みたいに『亜紀』って呼べない。だから、これは僕なりのけじめのつもり。あんなことしたけど、これからも今までみたいに亜紀ちゃんに会うことってできる?」
そう告げる彼の声がどことなく力がない。そのことに気がついた亜紀は首を大きく振りながら、必死になって肯定の言葉を口にする。
「もちろんです。それに、私のマリエ作ってくれるんでしょう? だったら、会えなくなるはずないじゃない」
もっとも、羞恥心だけを刺激されるような言葉に耐えなければいけないのは遠慮したい。そう告げるかのように、亜紀は頭から布団をかぶっている。
「グラントさん、本番って何のこと言ってるんですか?」
「え、分かってないの? 亜紀ちゃんと惟の結婚式。絶対に凄い人数が集まるんだろうね。なにしろ、亜紀ちゃんは一條家のお姫様だし、惟もそれなりに顔が広いからね。だとしたら、慣れておくためにも今度のコレクションでモデルやってよ」
アンジーが彼女を呼ぶ時の声が『亜紀ちゃん』に戻っている。そのことを不思議に思う亜紀は、じっとアンジーの顔を見つめるだけ。その視線に気がついたのだろう。アンジーはクシャリと顔を歪ませながら応えている。
「亜紀ちゃんの気持ちを知ってまで、前みたいに『亜紀』って呼べない。だから、これは僕なりのけじめのつもり。あんなことしたけど、これからも今までみたいに亜紀ちゃんに会うことってできる?」
そう告げる彼の声がどことなく力がない。そのことに気がついた亜紀は首を大きく振りながら、必死になって肯定の言葉を口にする。
「もちろんです。それに、私のマリエ作ってくれるんでしょう? だったら、会えなくなるはずないじゃない」


