「亜紀ちゃん、一條さんならここの院長に会うって言っていたよ。亜紀ちゃんの入院の手続きとか言ってたかな?」
「そうなんですね。でも、すぐに退院できると思うんだけどな。特に怪我したわけじゃないんだし。そうですよね?」
「たしかにそうですね。でも、こればかりは先生が判断なさることですよ。精神的に落ちついてないようだし、ゆっくりするのもいいと思いますよ」
問いかけるような亜紀の声に、看護師は笑いながらそう応えている。そのまま、彼女の体温を測った相手が出るのを待ちかねたようにアンジーが口を開いていた。
「亜紀、今はゆっくり休むのは一番だよ。本当に酷い目にあったんだから。怪我したとはきいてないけど、本当なの? 亜紀のことだから、我慢しているなんてことない?」
「グラントさん、私は大丈夫です。どこも怪我なんてしていないもの。ただ……」
「ただ、何?」
亜紀が言いたいことは分かっているのだろう。それでも、確かめるように問いかけられる言葉。それに対して、亜紀は震える声で訊ねかけるだけ。
「グラントさん、グラントさんなら知っているでしょう? だから、教えて欲しいの……」
「……何が知りたいの?」
教えて欲しいと言いながらも亜紀の口からは次の言葉が出てこない。それに対して、彼女の背中を押すように告げられる言葉。それを耳にした亜紀は意を決したように改めて口を開く。
「惟は? 惟はどうなったの?」
「そうなんですね。でも、すぐに退院できると思うんだけどな。特に怪我したわけじゃないんだし。そうですよね?」
「たしかにそうですね。でも、こればかりは先生が判断なさることですよ。精神的に落ちついてないようだし、ゆっくりするのもいいと思いますよ」
問いかけるような亜紀の声に、看護師は笑いながらそう応えている。そのまま、彼女の体温を測った相手が出るのを待ちかねたようにアンジーが口を開いていた。
「亜紀、今はゆっくり休むのは一番だよ。本当に酷い目にあったんだから。怪我したとはきいてないけど、本当なの? 亜紀のことだから、我慢しているなんてことない?」
「グラントさん、私は大丈夫です。どこも怪我なんてしていないもの。ただ……」
「ただ、何?」
亜紀が言いたいことは分かっているのだろう。それでも、確かめるように問いかけられる言葉。それに対して、亜紀は震える声で訊ねかけるだけ。
「グラントさん、グラントさんなら知っているでしょう? だから、教えて欲しいの……」
「……何が知りたいの?」
教えて欲しいと言いながらも亜紀の口からは次の言葉が出てこない。それに対して、彼女の背中を押すように告げられる言葉。それを耳にした亜紀は意を決したように改めて口を開く。
「惟は? 惟はどうなったの?」


