だが、いつまでたっても恐れている痛みはやってこない。ただ、誰かにしっかりと抱きしめられているという感覚。それと同時に「亜紀、大丈夫?」という惟の掠れた声が飛び込んでくる。
そのまま、体重がかけられていると思った亜紀は、堪え切れずに地面に座り込む。その時、あたりには女子生徒の金切り声で埋め尽くされる。
何があったのかと恐る恐る目を開ける亜紀の前には顔をゆがめた惟がいる。まるで訳の分からない彼女の手に生温かいものが流れてきていた。
「ど、どうしたの? 何があったの?」
「亜紀、怪我していないよね?」
「う、うん……私、刺されたんじゃないの?」
「そんなこと、させるはずないでしょう。亜紀が無事でよかった……」
そう告げる惟の声がだんだんと小さくなっていく。そのことに驚いた亜紀は、彼の体に手を伸ばす。その時、指先に触れるぬめっとした感覚。思わずそこに目をやった彼女は思わず悲鳴を上げることしかできなかった。
「惟! 惟! どうしての? 怪我してるんじゃないの?」
今の彼女は地面にペタリと座り込み、惟にのしかかられた状態になっている。この状況の訳が分からない彼女は手探りであたりの状況を知ろうとする。その時、手に冷たいものが当たる感じがする。それを確かめようとグッと力を入れた瞬間、彼女を止める声が響いていた。
「お嬢様、それに触ってはいけません! 今は何もせずにこのままでいてください!」
「竹原……どうして? どうしてなの?」
そのまま、体重がかけられていると思った亜紀は、堪え切れずに地面に座り込む。その時、あたりには女子生徒の金切り声で埋め尽くされる。
何があったのかと恐る恐る目を開ける亜紀の前には顔をゆがめた惟がいる。まるで訳の分からない彼女の手に生温かいものが流れてきていた。
「ど、どうしたの? 何があったの?」
「亜紀、怪我していないよね?」
「う、うん……私、刺されたんじゃないの?」
「そんなこと、させるはずないでしょう。亜紀が無事でよかった……」
そう告げる惟の声がだんだんと小さくなっていく。そのことに驚いた亜紀は、彼の体に手を伸ばす。その時、指先に触れるぬめっとした感覚。思わずそこに目をやった彼女は思わず悲鳴を上げることしかできなかった。
「惟! 惟! どうしての? 怪我してるんじゃないの?」
今の彼女は地面にペタリと座り込み、惟にのしかかられた状態になっている。この状況の訳が分からない彼女は手探りであたりの状況を知ろうとする。その時、手に冷たいものが当たる感じがする。それを確かめようとグッと力を入れた瞬間、彼女を止める声が響いていた。
「お嬢様、それに触ってはいけません! 今は何もせずにこのままでいてください!」
「竹原……どうして? どうしてなの?」


