惟は心配していない、という言葉を口にする。だが、そこに宿る響きがいつもの彼ではない。そのことを亜紀は敏感に感じ取っている。そして、その原因が自分の行動にあるのだ。
そう思う亜紀は惟の名前を呼ぶことしかできない。その時、亜紀の声とは別に惟を呼ぶ声がその場に響いていた。
「惟様。やっぱり、ここにいらしたんですね」
「南原、君こそどうしてここに? それより、よくここに入れたね。ここのセキュリティーはしっかりしていると思ってたんだけども?」
「ご心配なく。ちゃんと、許可をとって入ってきましたから。でも、どうしてなんですか? どうして、こんな子供……」
惟に向かって嘆願するような声を出す千影。だが、その視線はしっかりと亜紀の姿をとらえている。その様子に何か嫌なものを感じたのだろう。惟は校内に戻るようにと告げるように亜紀の背をグッと押している。
「惟、どうしたの?」
「亜紀、ちょっと中に入っていて。すぐに迎えに行くから」
「どういうことなの? やっぱり、あの人の方がいいんじゃないの?」
「どうして、そんなことを考えるの? そんなことはないってさっきも言ったよ。それよりも、早く中に入って」
「嫌! そんなことする理由が分からない!」
「亜紀! お願いだから、言うことをきいて」
そう思う亜紀は惟の名前を呼ぶことしかできない。その時、亜紀の声とは別に惟を呼ぶ声がその場に響いていた。
「惟様。やっぱり、ここにいらしたんですね」
「南原、君こそどうしてここに? それより、よくここに入れたね。ここのセキュリティーはしっかりしていると思ってたんだけども?」
「ご心配なく。ちゃんと、許可をとって入ってきましたから。でも、どうしてなんですか? どうして、こんな子供……」
惟に向かって嘆願するような声を出す千影。だが、その視線はしっかりと亜紀の姿をとらえている。その様子に何か嫌なものを感じたのだろう。惟は校内に戻るようにと告げるように亜紀の背をグッと押している。
「惟、どうしたの?」
「亜紀、ちょっと中に入っていて。すぐに迎えに行くから」
「どういうことなの? やっぱり、あの人の方がいいんじゃないの?」
「どうして、そんなことを考えるの? そんなことはないってさっきも言ったよ。それよりも、早く中に入って」
「嫌! そんなことする理由が分からない!」
「亜紀! お願いだから、言うことをきいて」


