たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

そう言うなり、惟はますます亜紀をしっかりと抱きよせる。そんな二人の姿を目にした生徒、特に女生徒の黄色い悲鳴が聞こえてくる。

こうなったら、もう言い訳はできない。そんなことを思うのだろう。亜紀はうなだれたような表情で惟に連れられて歩くことしかできない。そんな彼女に惟が甘い声で囁きかけてくる。



「亜紀、そろそろ竹原が迎えに来るんだろう? その前に移動したいんだけど構わない?」


「う、うん……」



たしかにこのままゆっくりしていれば、雅弥が迎えに来るだろう。そして、惟を避けるために雅弥に協力してもらっていたという自覚が亜紀にはある。となると、この場でこの二人が顔を合わせるのはまずい。そう思った亜紀はクイっと惟の袖を引っ張っていた。



「でも、惟。さっきも聞いたわ。どこに行くつもりなの? それくらい教えて欲しいわ」


「知りたい? 教えてあげてもいいけど、亜紀をビックリさせたいから。だから、今は教えない」


「惟の意地悪。どうして、そんなこと言うの?」


「だって、さっきまで君に会いたくないって拒否されたんだよ。少しくらい意地悪したっていいんじゃないかな?」



惟のその言葉に亜紀はバツの悪い顔をすることしかできない。たしかに、彼を無視していたのは間違いない。だが、それとこれとは違う。そう言いたいのだが、言うことができない。結局、彼女は惟の隣を歩くことしかできないようだった。



「わかったわよ。惟がそんなに意地悪言うなんて、思ってもいなかったわ。でも、あれって惟も悪いのよ。他の女の人と仲良くしてたんだもの」