たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

絶対に、次の登校時にはもみくちゃにされる。


それだけは断固、拒否したい。そう思う亜紀は、まだ足がガクガクなっているのを隠すようにそう告げることしかできない。もっとも、亜紀のそんな強がりを惟は分かっているのだろう。フッと笑みを浮かべると彼女の腰をグイッと引き寄せている。



「亜紀がそう言うなら、そういうことにしておこうね。じゃあ、拓実君。後のことは頼んだよ。亜紀のカバン、持って帰ってくれたら嬉しいな」


「分かりましたよ。亜紀ちゃん、惟さんが無理矢理しようなんてことしたら、思いっきり蹴り飛ばしていいからね。それくらいの反撃は許されると思うから」



拓実の言葉の意味が分かったのだろう。亜紀は目を白黒させることしかできない。そんな彼女をしっかりと抱きよせた惟は「そんなことしないよね」と囁きかけてくる。

この場合、どちらの言葉に頷けばいいのだろう。そんなことを思う亜紀は、惟の袖をクイっと引っ張ると、彼の胸に顔を隠すようにすることしかできなかった。



◇◆◇◆◇



「ねえ、惟。今からどこへ行くの? それに、みんな見てる。もうちょっと離れて? お願い」



理事長室から出ても、惟が亜紀を抱き寄せる手を離すことはない。たしかに今は放課後。だが、それだけに下校しようとする生徒の目もある。だからこそ、亜紀は手を離してくれるようにと可愛らしくお願いする。だが、そんな彼女のお願いを惟が聞き入れるつもりはないようだった。



「どうして? 僕たち婚約しているんでしょう? だったら、恥ずかしがる必要ない。それに、僕はまだ亜紀が不足してるの。だから、ちょっとでも亜紀に触れて、亜紀を充電しないとね」