「わかったよ、拓実君。忠告ありがとう。ところで、亜紀を連れて行ってもいいかな? 彼女に見せたいものもあるし」
そう言いながらも惟が亜紀を離す気配はない。その姿に拓実は大きくため息をつくことしかできないようだった。
「嫌だっていっても、惟さんは亜紀ちゃんを連れて行くんでしょう? だから、あえて反対はしません。でも、どこに連れて行くかだけは教えてもらえませんか?」
「それ、教えないといけない? 明日は学校、休みでしょう? だから、一緒にいたいって思ってるんだけどね」
どうして、こんな当然ともいえることを教えないといけないのだ。そんな雰囲気が惟の口調からは感じられる。今の彼には、先ほどまでの焦った様子がない。拓実がよく知る自信にあふれた姿。
この状態の彼に何を言っても無駄だ。そのことを知っている拓実はもう一つため息をつくと頭をガシガシとかきむしっている。
「分かりました。今の惟さんに何を言っても無駄ですよね。じゃあ、これだけは約束してくださいよ。亜紀ちゃんに無理だけはさせないでください。お願いしましたよ」
「う〜ん。自信はないけど、約束する。僕も亜紀に無理させたいとは思ってないし。ところで、亜紀、歩ける? 無理だったら……」
「だ、大丈夫。歩けるわよ。でも、カバンは?」
ここで歩けないなどと口にしたらどうなるか。間違いなく、抱きかかえられての移動になる。校内でそんなことをやった日にはどうなるか考えるまでもない。
そう言いながらも惟が亜紀を離す気配はない。その姿に拓実は大きくため息をつくことしかできないようだった。
「嫌だっていっても、惟さんは亜紀ちゃんを連れて行くんでしょう? だから、あえて反対はしません。でも、どこに連れて行くかだけは教えてもらえませんか?」
「それ、教えないといけない? 明日は学校、休みでしょう? だから、一緒にいたいって思ってるんだけどね」
どうして、こんな当然ともいえることを教えないといけないのだ。そんな雰囲気が惟の口調からは感じられる。今の彼には、先ほどまでの焦った様子がない。拓実がよく知る自信にあふれた姿。
この状態の彼に何を言っても無駄だ。そのことを知っている拓実はもう一つため息をつくと頭をガシガシとかきむしっている。
「分かりました。今の惟さんに何を言っても無駄ですよね。じゃあ、これだけは約束してくださいよ。亜紀ちゃんに無理だけはさせないでください。お願いしましたよ」
「う〜ん。自信はないけど、約束する。僕も亜紀に無理させたいとは思ってないし。ところで、亜紀、歩ける? 無理だったら……」
「だ、大丈夫。歩けるわよ。でも、カバンは?」
ここで歩けないなどと口にしたらどうなるか。間違いなく、抱きかかえられての移動になる。校内でそんなことをやった日にはどうなるか考えるまでもない。


