たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

そう告げると惟は目を開き、まっすぐにアンジーの顔をみつめている。その真剣な表情に、アンジーは何も言うことができない。そんな彼を見ながら、惟は思っていることを話し続ける。



「信じられないって顔してるよ。ま、普通はそう思うか。でも、僕は本気だから。アンジーが作ったマリエは亜紀に渡す。その時、僕はもう一度彼女にプロポーズする。その意味、分かるよね?」


「つまり、僕も亜紀ちゃんを口説いてもいいってこと? 彼女にプロポーズしてもいいの?」


「そう言わなかった? でも、これだけは覚えておいて。僕にとって、彼女は唯一の人だから。だから、簡単に諦めたりしないよ。つまり、アンジーも本気で亜紀にぶつかって。それで、彼女が君を選んだのなら仕方がない。認めたくないけどね」



そう告げる惟の表情は複雑なもの。だが、それも仕方がないのだとアンジーは気がついている。


もし、自分が亜紀に思いを告げなければ。


黙って、彼女が惟と結ばれるのを見守っていれば。


そうすれば、彼にこんな表情をさせることはなかったのだ。


しかし、言葉は口から出てしまった。一度こぼれた水は元に戻せない。だからこそ、惟も苦渋の決断といえることを口にしている。

となれば自分のできることはなんだろう。そう思ったアンジーは、惟も言葉に頷くことしかできないのだということを悟っていた。



◇◆◇◆◇



惟とアンジーが互いの思いにどこか気まずくなっているのと同じ頃。二人から想いを寄せられている亜紀も、どうすればいいのかと悩んでいる状態だった。