たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

「そうなんだ……で、あれを見た亜紀ちゃんが完全に興奮しちゃって……あのままあそこにいて、惟や千影さんに会っちゃいけないって思ったんだ」



アンジーの声に惟はフッとため息をついている。そのまま、彼は部屋にあったソファーにどんと腰を下ろすと、足を組んでアンジーの顔を見る。その気配を察したのだろう。彼はゆっくりと言葉を探しながら話し続ける。



「で、ここに連れてきた。その時、泣きそうな顔をしていた亜紀ちゃんをほっておけなかった」


「そうなんだ。で、亜紀に何かしたの?」



惟の声がどんどんと冷たくなっていく。そう感じたアンジーは背中に冷たいものが流れるのを止めることができない。

今の季節は夏。そして、外は蒸し暑く、室内はクーラーが欠かせない。

だというのに、今のこの場はどんどんと温度が下がり、凍りつくような感じさえする。だが、これも自分が播いた種。そう思っているのだろう。アンジーは言葉を続けるしかないと思っている。



「あの時の亜紀ちゃんが可哀想で、なんとかしたいと思ったんだ。で、気が付いたら抱きしめてキスしてた」


「それだけ?」



アンジーの声に惟の眉がピクリと跳ね上がる。ギリッと唇を噛みしめるような音がするのではないか。そんなことを思うアンジーは話を続けたくない、と思っている。だが、惟の無言の圧力はそれを許そうとはしない。結局、彼はあったことの全てを話すしかないと気づかされていた。



「惟、ゴメン。抱きしめて、キスして、気が付いたら亜紀ちゃんを押し倒してた」