「惟? 開いてるよ。入ってきて」
その声にようやく、惟の表情が落ちついたものになっていく。しかし、聞こえてくるのはアンジーの声だけ。
そこに一抹の不安が残るのか、ガチャリと音を立てながら扉を開く表情はどこか不安気。そして、入った室内にいるのがアンジーだけだということに気がついた惟は、思わず声を荒げていた。
「アンジー、亜紀はどこ? 一緒だったんでしょう?」
そう叫ぶ惟の目が室内を見渡している。そこには亜紀のカバンだけがポンと置かれている。
ということは、間違いなく彼女はここにいた。それなのに、今は姿がない。
そのことに不安と焦りを感じるのだろう。惟の声がどんどんと険しさを増していく。その声に対して、アンジーは腰を直角に折ると、ガバっと惟に向かって頭を下げていた。
「惟、ゴメン!」
「だから、何に対してそう言うの? ちゃんと分かるように説明して」
今の惟は苛立ちを隠すことができない。だからだろう。アンジーに対してもどこか冷たい印象を与える声しかかけることができない。
だが、アンジーはそんな惟の反応も分かっていたのだろう。俯いたままの姿勢で、ボソボソと喋り始めている。
「ラ・メールで惟を待っている時、千影さんと一緒にいるところをみかけたんだ」
「うん、そのことは聞いたよ。まったく、彼女には困ったよ。どうやら、前にも亜紀とトラブル起こしていたようだしね。竹原にも言われてたんだけど、亜紀に確認しなかった僕が悪かった」
その声にようやく、惟の表情が落ちついたものになっていく。しかし、聞こえてくるのはアンジーの声だけ。
そこに一抹の不安が残るのか、ガチャリと音を立てながら扉を開く表情はどこか不安気。そして、入った室内にいるのがアンジーだけだということに気がついた惟は、思わず声を荒げていた。
「アンジー、亜紀はどこ? 一緒だったんでしょう?」
そう叫ぶ惟の目が室内を見渡している。そこには亜紀のカバンだけがポンと置かれている。
ということは、間違いなく彼女はここにいた。それなのに、今は姿がない。
そのことに不安と焦りを感じるのだろう。惟の声がどんどんと険しさを増していく。その声に対して、アンジーは腰を直角に折ると、ガバっと惟に向かって頭を下げていた。
「惟、ゴメン!」
「だから、何に対してそう言うの? ちゃんと分かるように説明して」
今の惟は苛立ちを隠すことができない。だからだろう。アンジーに対してもどこか冷たい印象を与える声しかかけることができない。
だが、アンジーはそんな惟の反応も分かっていたのだろう。俯いたままの姿勢で、ボソボソと喋り始めている。
「ラ・メールで惟を待っている時、千影さんと一緒にいるところをみかけたんだ」
「うん、そのことは聞いたよ。まったく、彼女には困ったよ。どうやら、前にも亜紀とトラブル起こしていたようだしね。竹原にも言われてたんだけど、亜紀に確認しなかった僕が悪かった」


