たしかに前から窓際の席は気をつけろと言われ続けてきた。その理由がなんとなくでは分かってきている。だからこそ、普段であればそのようなことはしない。だが、今日はどうしてもこの席に座りたい。
そう言いたげな表情で、亜紀はアンジーを見上げている。その瞳がどこか潤んだようになっている。無意識のうちにみせる彼女の仕草に、アンジーの胸がギュッと締め付けられる。
ここでこの顔は反則だ。
これが今の彼の正直な気持ちだろう。
諦めないといけない。そう思っているはずの相手から向けられる誘っているかのような顔。これに抗うのはかなり厳しい。そう思っていても、この場で彼が口にできる言葉は決まっている。自分の気持ちに蓋をするように大きく息を吐いたアンジーは、亜紀の頭をポンと叩いていた。
「亜紀ちゃん、惟にいつも言われているんだろう? 簡単に写真を撮られるような席に座るなって」
「うん……でも、このお店は安全だってきいてるし……」
「だね。そのことは僕も知ってる。それに、いつもなら惟が一緒だものね。でも、今は違うんだ。だから、今日は辛抱して奥の席に座って?」
アンジーの言葉の意味は分かっている。でも、そのことに頷きたくないという思いもある。そんな二つの思いからだろう。亜紀はキュッと唇をかみしめると下を向いてしまっている。
「亜紀ちゃん? 泣いてるの? 僕、そんなことをするつもりないんだよ。ね、僕の顔を見て。亜紀ちゃん泣かせたなんて惟に知られたら僕が怒られる」
そう言いたげな表情で、亜紀はアンジーを見上げている。その瞳がどこか潤んだようになっている。無意識のうちにみせる彼女の仕草に、アンジーの胸がギュッと締め付けられる。
ここでこの顔は反則だ。
これが今の彼の正直な気持ちだろう。
諦めないといけない。そう思っているはずの相手から向けられる誘っているかのような顔。これに抗うのはかなり厳しい。そう思っていても、この場で彼が口にできる言葉は決まっている。自分の気持ちに蓋をするように大きく息を吐いたアンジーは、亜紀の頭をポンと叩いていた。
「亜紀ちゃん、惟にいつも言われているんだろう? 簡単に写真を撮られるような席に座るなって」
「うん……でも、このお店は安全だってきいてるし……」
「だね。そのことは僕も知ってる。それに、いつもなら惟が一緒だものね。でも、今は違うんだ。だから、今日は辛抱して奥の席に座って?」
アンジーの言葉の意味は分かっている。でも、そのことに頷きたくないという思いもある。そんな二つの思いからだろう。亜紀はキュッと唇をかみしめると下を向いてしまっている。
「亜紀ちゃん? 泣いてるの? 僕、そんなことをするつもりないんだよ。ね、僕の顔を見て。亜紀ちゃん泣かせたなんて惟に知られたら僕が怒られる」


