たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

「亜紀ちゃん、ビックリした? 惟はちょっと忙しくてね。亜紀ちゃんが待ちぼうけしていたら可哀想だからと思って、僕が迎えに来たんだ」


「そうだったんですか。わざわざありがとうございます」



そう言うと、亜紀はペコリと頭を下げている。そんな彼女にアンジーは誘いの声をかけていた。



「ね、惟とラ・メールで約束しているんだ。亜紀ちゃんもそこに来ない?」


「いいんですか? だったら、お願いします」



アンジーの誘いは亜紀にとって願ってもないもの。だからだろう。パッと顔を明るくした彼女は、ニコニコ笑いながらアンジーの顔をみつめている。

その顔をどこか眩しそうな顔で見た彼は、スッと腕を差し出していた。その態度の意味がわからない、と不思議そうな顔をする亜紀。そんな彼女に、アンジーの穏やかな声がかけられる。



「ラ・メールまでなら歩いて行けるだろう? 僕と一緒じゃ不満があるかもだけど、そこまで惟の代わりにエスコートさせて」



アンジーの声がちょっと不安気なものになっている。そんな彼の腕に、亜紀は彼女の腕を絡めている。まさか、彼女がそのような行動をとるとは。そう思ったアンジーの顔が一気に赤くなる。だが、そんな彼の様子にも気がつかないように、彼女は俯いてポツリと言葉を口にしていた。



「不満じゃないです。よ、よろしくお願いします」



今、彼女が俯いてしまった理由。それは、自分の行動が恥ずかしいと思ったから。なにしろ、彼女は婚約者がいる。それなのに、その相手以外の男性の腕に絡みつく。これが褒められたことではないことは、彼女自身がよく知っている。