たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

「ほんと、常識のない子ね。ここってそうやって騒ぐ場所じゃないと思うけれども? だから、女子高生って品位がないって思われるのよ」



突然の声に亜紀と由紀子は恐る恐る振り返っている。そこには苛立ちを隠そうともしない千影が二人を睨みつけて立っていた。



「あ、あの……煩くして申し訳ありませんでした」



由紀子が何かを言いたそうにするのを抑えて、亜紀がペコリと頭を下げて謝罪する。その姿に千影はフンと鼻を鳴らすと、完全に見下した表情を彼女に向けていた。



「一応、謝る口はついているのね。よかったわ。それより、あなたに言いたいことがあるのよ」


「なんでしょう?」



たしか、この相手とは一度会ったことがある。そんなことを亜紀は頭の片隅でぼんやりと考えている。だが、接点はその一度きりのはず。だというのに、ここまで見下されたような調子で言葉をぶつけられないといけないのだろうか。

そんな疑問が膨らんでくるが、相手の方がどうみても年上。となれば、素直に話を聞いた方がいい。そう判断した彼女は、千影が口を開くのをじっと待っている。そんな亜紀の反応に腹が立ったのだろうか。千影は刺々しい声を彼女にぶつけていた。



「分からない? そうね、子供だものね。じゃあ、はっきり言うわ。さっさとその指輪を外しなさい。それ、あなたの物じゃないはずよ。それとこの前着ていたドレス。あれ、うちの最新作の一点物なの。それをあなたみたいな女子高生が着てもいいと思ってたの?」


「で、でも、これは私の物だって惟が……」