亜紀の精神状態を落ちつかせようと思っているのだろう。差し出された紅茶はいつもより甘めのミルクティー。豊かな茶葉の香りが体を包み込むことに、亜紀はホッとした思いになっている。そんな彼女の左手薬指に光るもの。それに目をやった由紀子は、指輪のきらめきにも負けないほど顔をキラキラさせていた。
「ねえ、亜紀。それって婚約指輪よね? 見せてよ」
そう言いながら由紀子は強引に亜紀の手をとっている。そのまま、間近で指輪を眺めた彼女はため息をつくことしかできなかった。
「素敵な指輪よね。でも、これってダイヤ? 色がついているような気がするけど……ピンク色? ダイヤって透明じゃなかったっけ?」
「佐藤様、一條様の指輪はピンクダイヤですよ。もっとも、ここまで色の濃いものも珍しいですね。流石と申しましょうか。これだけのものを用意なさったというわけですね。たしかに、一條様に相応しいといえば、このランクのものしかないでしょうし」
亜紀の指輪に目をやったラ・メールのマスターが当然のような顔をして呟いている。それを耳にした由紀子は興奮した様子を隠すことができなかった。
「あんたってほんとに溺愛されているのね。マスター、みてやってよ。亜紀ったら、そこらじゅうにキスマークつけてるのよ。おまけにそんなに凄い指輪でしょう? もう、どこまで溺愛されてるのかって話だと思いません?」
鼻息も荒くそう告げる由紀子に亜紀の顔が引きつっていく。一方、話を振られた方は、当然ではないですか、というような表情。その時、女性のキツイ声が二人の背後から聞こえてきていた。
「ねえ、亜紀。それって婚約指輪よね? 見せてよ」
そう言いながら由紀子は強引に亜紀の手をとっている。そのまま、間近で指輪を眺めた彼女はため息をつくことしかできなかった。
「素敵な指輪よね。でも、これってダイヤ? 色がついているような気がするけど……ピンク色? ダイヤって透明じゃなかったっけ?」
「佐藤様、一條様の指輪はピンクダイヤですよ。もっとも、ここまで色の濃いものも珍しいですね。流石と申しましょうか。これだけのものを用意なさったというわけですね。たしかに、一條様に相応しいといえば、このランクのものしかないでしょうし」
亜紀の指輪に目をやったラ・メールのマスターが当然のような顔をして呟いている。それを耳にした由紀子は興奮した様子を隠すことができなかった。
「あんたってほんとに溺愛されているのね。マスター、みてやってよ。亜紀ったら、そこらじゅうにキスマークつけてるのよ。おまけにそんなに凄い指輪でしょう? もう、どこまで溺愛されてるのかって話だと思いません?」
鼻息も荒くそう告げる由紀子に亜紀の顔が引きつっていく。一方、話を振られた方は、当然ではないですか、というような表情。その時、女性のキツイ声が二人の背後から聞こえてきていた。


