「これ何? ひょっとしなくてもキスマーク? わ、愛されてるんだ~」
そう言いながら、由紀子は遠慮なく亜紀の服の中を覗き込んでいる。その視線の先には紛れもなく無数のキスマークがある。もっとも、その中の幾つかがつけられてから時間が経っていない。そう思った由紀子はますます顔をニンマリさせていく。
「ここまで痕つけさせるなんて、相当辛抱させてたわね。よく、抱き殺されなかったことで」
「ゆ、由紀子!」
思ってもいなかったことを言われたことで亜紀の顔は赤くなるのを越えて青くなっていく。そんな彼女の姿に、由紀子はコロコロと笑い転げるだけ。その様子に、亜紀はここがどこかということを思い出すと、キッと睨みつけていた。
たしかに今いるラ・メールは安心して話ができる場所。だが、昼間っからこんなきわどい話をしてもいいのだろうか。そんな思いが亜紀の中では大きくなっていく。なにしろ、今いるのはカウンター席。どうしてここに座ったのだろうとうなだれる彼女にそっと差し出されるものがある。
「あ、あの?」
「一條様、このたびはご婚約おめでとうございます。お祝いということでお受け取りください。山県様とお幸せになれますように」
にこやかな笑顔とともに差し出される紅茶のカップ。それは、このところ何度も出入りしている間に顔なじみとなったマスターからの心遣い。それを感じた亜紀はコクリと頷くと、カップに手を伸ばす。
「美味しいです。いつもありがとうございます」
そう言いながら、由紀子は遠慮なく亜紀の服の中を覗き込んでいる。その視線の先には紛れもなく無数のキスマークがある。もっとも、その中の幾つかがつけられてから時間が経っていない。そう思った由紀子はますます顔をニンマリさせていく。
「ここまで痕つけさせるなんて、相当辛抱させてたわね。よく、抱き殺されなかったことで」
「ゆ、由紀子!」
思ってもいなかったことを言われたことで亜紀の顔は赤くなるのを越えて青くなっていく。そんな彼女の姿に、由紀子はコロコロと笑い転げるだけ。その様子に、亜紀はここがどこかということを思い出すと、キッと睨みつけていた。
たしかに今いるラ・メールは安心して話ができる場所。だが、昼間っからこんなきわどい話をしてもいいのだろうか。そんな思いが亜紀の中では大きくなっていく。なにしろ、今いるのはカウンター席。どうしてここに座ったのだろうとうなだれる彼女にそっと差し出されるものがある。
「あ、あの?」
「一條様、このたびはご婚約おめでとうございます。お祝いということでお受け取りください。山県様とお幸せになれますように」
にこやかな笑顔とともに差し出される紅茶のカップ。それは、このところ何度も出入りしている間に顔なじみとなったマスターからの心遣い。それを感じた亜紀はコクリと頷くと、カップに手を伸ばす。
「美味しいです。いつもありがとうございます」


