たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~

彼と離れたくないという思いに駆られた彼女は、次の日の夜も彼の誘いを断れなかったのだ。由紀子との約束をキャンセルしたのは、そのせいもある。

二晩続けて過ごした甘い夜。日曜日に由紀子と約束していることを知っていたはずなのに、なかなかベッドから出してもらえない。ようやく彼の腕から解放されたのが、日曜日のお昼前。

それだけ長い時間かけてつけられた赤い痕は、彼女の全身にある。おまけに、どう足掻いても隠すことのできない位置につけられたものも多数。こんな状態で由紀子と会えば、どれだけ妄想のオカズにされるか分かったものではない。

それだけではない。プロポーズと初体験、パーティーでの緊張感。そんな様々なことで疲労困憊していたのだ。

こんな状態で会っても楽しめるはずがない。そう思った亜紀は由紀子に約束のキャンセルをするということを選ぶことしかできない。当然、そのことで追及をうけるのは分かっている。しかし、先週の状態で会うということの方が危険。

たしかに、それは間違っていない選択。しかし、由紀子のバイタリティーは亜紀の想像をはるか斜め上を走っている。彼女は亜紀との約束がキャンセルになった事情をそれとなく分かっていたのだろう。そして、それを確信させたのが週刊誌の記事。

それらを踏まえて確信を込めてぶつけた言葉が彼女と会った時の第一声。『婚約したんだ』という言葉に対して、真っ赤になってしまう友人。

これは絶対に面白い話が聞ける。そのことを確信した由紀子の目に映る微かな赤い痕。それを見たとたん、彼女はニンマリとしかいいようのない表情を浮かべていた。