「い、一体どうしたというんだ」 物凄い勢いで自分を出迎えた家臣や女中に若干引き気味の晴宗。 そして何よりそこに会いたかった彼女の姿がないことに落胆を隠せない。 あからさまに肩を落とす晴宗だが、周りの者はそんなことお構いなしだ。 なかにはその目に涙を浮かべているものまでいる。 一体何が彼らをこんな状態にしているのか。 そのなんとも言えない雰囲気と寒さを感じる自らの家に晴宗は訝しげに眉を潜めた。 しかしそれはすぐに驚きの表情へと変わることになる。 「実は久保姫様が─────…」