C室はこじんまりとしていて、でも壁がコンクリート丸出しだから冷たい空気が漂っている。
これからの季節は涼しくていいかもしれないけど冬は辛いなー、と思いながら部長席についた。
あれ、名刈さんは?
あ。奥にも部屋があるのね。
「名刈さん?」
開いた扉から顔を覗かせると、まるで学校の校長室みたいな空間がそこにはあった。
「なーに?何か困ったことでも起きた?」
校長先生がよく座っていそうな椅子に腰掛ける名刈さんは、その椅子をクルクル回しながら言った。
「見てよー。俺、コーヒーカップ大好きなんだー」
「……………………」
言葉も出ませんよ。
上司さん。
目を細める私を見て名刈さんが笑った。
「ひどいねー、その目。どうせ、俺を見て呆れてんでしょ」
頷きそうになって慌てて首を横に振った。
「いえ、そんなっ」
「うわぁー傷つくなー。バレバレの嘘つかれてもねー?」
ケラケラ笑う名刈さんに何を言っても弁解は出来ないようだ。まぁ、図星だからだけど。
私も笑い出すと名刈さんは不意に真顔になった。
「…?」
「あのさ…」
「…はい?」
「言いたいことあったらハッキリ言いなよ。人類みな家族って言うでしょ。それ言ったらここにいる俺らは家族以上じゃん!」
「…………」
「だから」
「はい…………何言ってるんですか…?」
「!!そうそう!そんな風にね」
名刈さんはまた椅子を回し始めた。

