「私がれーお…」


そう口にしてふと考える。


れーおはもう大人、ね。



「私が沢田くんの教育を任されました、佐々井茉那です。わからないこととかあったら何でも聞いて。遠慮しないでって…それは心配ないわね…」


「はい。遠慮なんてしませんよ、先輩」


少し可笑しそうにれ…じゃなくて、沢田くんは言う。



「あんれ~知り合い?」


私たちの声を聞き出したのか、奥の部屋から名刈さんが顔を出す。


「幼なじみなんです」


「へー…」



「……なんですか…?」


名刈さんのじっとした視線に耐えられずに私は声を挙げた。


「…………君たち……昔何かあったね?」


「……何か、ですか?」


名刈さんの言葉の意味が解らず…首を傾げた。



「例えば…そうだな…昔、付き合ってたとか!」


「!!な、ないないない!ないですよー!」


「?慌てて否定する辺り、怪しいなぁ…?」


疑いの眼差しを送る上司にどきりとした。


「本当ですって…」


そう言ってもまだ疑いの眼差しを止めないのだ。


ちらりと沢田くんを見ると他人事のように名刈さんを眺めて笑っている。



誰のせいで私がからかわられてると思ってんのよ!



彼の笑顔に悔しくなった。