図書館彼氏【短編】

数時間がたち、あっという間に帰る時間になった。

最後の日はこれで終わり。

もうこの街に戻るまで会えない。


「なぁ、手、繋ごうぜ」


「うん」


でも、あっという間に梨沙の家はつく。

離された手。

会えなくなる実感がわいて、思わず抱きついた。


「は...やと?」


「ごめん、しばらくこのままにして」


「うん」


そう言った梨沙は俺をぎゅっと力を込めて抱きしめてくれた。


「じゃあ、俺帰るな」


「うん!ばいばい」


「じゃあな...」


これでいい。

また取り戻すから。

それまで待ってろ、梨沙。

少し長いけど待ってろよ。

俺、がんばるから。