図書館彼氏【短編】

「梨沙、帰るぞ」

「あ、うん!」


こうやって帰れるのも残りわずか。

すべてが最後になっていくんだ。

だからこそ、1日1日を大切にするんだ。


「おまたせっ」


「準備遅くね?」


「ごめんなさい...」


「ふっ、からかっただけだし」


「バカ。怒らしたと思った」


なんで転勤なんだろうな。

こんなに幸せなのに。

幸せってあっさり壊されるんだな。


「颯斗?なにぼーっとしてんの?」


「あ、いや別に?てか、図書館行かね?」


「賛成ー!もちろん、あの席ね?」


「わかってるって。あの席が落ち着くんだろ?」


「なんで落ち着くこと知ってんの?」


「宮田さんから聞いた」


もちろん知ってるし。

梨沙を探すために宮田さんから聞いたことだからな。

てか、俺梨沙の誕生日とか知らねぇな。

あとで聞こうかな。