図書館彼氏【短編】

「あの、梨沙ってまだ俺のこと覚えてますか?」


「えぇ、覚えてるわよ。雨が降るたび思い出してるみたい」


「え⁉︎……そうなんですか?」


「たぶん、颯斗くんに会いたいんだと思うの」


「俺に……?」



梨沙も会いたいって思ってくれてるのか?

まだあの日のこと覚えてるんだな。

じゃあ、俺がその男の子だってはなしたらびっくりしそうだな。



「たぶんね、颯斗くんがあの男の子だって知ったらものすごい喜ぶと思うわ」


「なんでですか?」


「だって、会いたかった男の子に会えたのよ?そりゃ、喜ぶわよ」



俺に会えて喜ぶ………。

そうであってほしいな。



「明日はなそうかなって思ってるんです」


「そう。やっとその日が来るのね!」


「……はい?」


「あ、ううん。なんでもないわよ♪」


「……?まぁ、明日梨沙がどんな反応するか楽しみです!」


「私も♪今日は楽しみで寝れないかも!……なんちゃって、ふふっ」


「ははっ。…じゃあ、俺そろそろ帰りますね。さよなら」


「はい、さよなら」



早く明日になってほしい。

梨沙の喜ぶ笑顔が早く見たいんだ。

……って俺キモいな。

いつからこんなこと思うようになったんだろ?

………たぶん昔からだ。