図書館彼氏【短編】

梨沙と初めて会ったのは、小1の時。

その日は雨。

俺は図鑑とか絵本を見るために図書館に来てた。

そろそろ帰ろうかなって思った時、入り口あたりで宮田さんがいた。

その宮田さんの隣には俺と年齢が同じぐらいの女の子。

近寄ってみると、その女の子は泣いてたんだ。



「どうしたの?なんで泣いてるの?」



どうしてもほっておけなかった。

泣いてるならなにかしてあげたいって思ったんだ。

泣いてる理由を聞いたら、傘が壊れて、家に帰れないって思って泣いてるって宮田さんが言ってた。

傘が壊れても家には帰れるのに、なんで泣いてんだよって思った。

でも、不安なんだなって思ったんだ。

だから俺の傘を貸した。

少しでも安心してほしかった。

自分は傘をささずに帰ってもいいから、この女の子に貸してあげようって思った。

俺は傘を渡してすぐ帰った。

女の子が“ありがとう”って言った時の笑顔がものすごく可愛かった。

その笑顔を見て、照れくさくなってすぐ帰ったのを覚えてる。